企業経営理論

戦略のプロセス型アプローチ

戦略のプロセス型アプローチとは、これまで企業がとってきた行動から帰納的に導かれるパターンが戦略になるという考え方で、この視点を与えてくれたのが本年度の1次試験・企業経営理論に出題されてたミンツバーグです。
彼は著書【戦略計画 創造的破壊の時代】のなかでこれまでの戦略理論の再検討とケース分析を行い、理論に従って戦略策定した企業は失敗する傾向にあるが、直観に頼って行動する企業は成功する傾向にあると述べました。そして、このような傾向になる原因として、①これまでの戦略理論は分析に隔たりすぎており、急な環境変化に柔軟に対応できない。②これまでの分析技法は、戦略実行を左右する現場の実情といった経営のソフト面を分析できないので、実行できない戦略を策定してしまう。③直観は、分析では明らかにできないソフト面(強みであるかもしれない)を考慮出来るなどをあげ、これらを基に成功する戦略とは「分析では把握できないソフト面を直観で把握し、それを時系列で見ることで強みになる要因を発見して、その強みに基づいた行動をとること」だとしました。

ここで注意しなければならないのが、ミンツバーグ【H. ミンツバーグ経営論】は「戦略は直観に頼るだけでなく分析も合わせて行わなければならない」と言っている事です。そのためには、(1)質の高い直観を持つ人材が必要であり、(2)そのような人材が直観を考慮しつつ分析を行うべきであることから、現場の実情を知るラインマネジャーが計画策定担当者になるべきだと言っています。

ちなみに、環境変化に即応できる組織文化が醸成されている場合に、明文化された戦略が無くとも環境変化に合うような行動をとることを「創発戦略」【MITスローン・スクール 戦略論】や「柔道戦略」【戦略立案ハンドブック (Best solution)】といい、これが繰り返されるとそのパターンから強みが把握できるようになって、戦略が形成されるようになります。これもプロセス型戦略です。

もひとつ ちなみに、意思決定に有益な直観についての文献として【戦略決定の本質】、【ウォートンスクールの意思決定論 (BEST SOLUTION)】、【すぐれた意思決定―判断と選択の心理学】があります。

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診断士受験の補完者
公的支援機関の元職員です。 このサイトは、市販テキストでは記述が不十分であったり、そもそも記述されていない各種の経営理論を紹介することで、市販テキストや資格学校の講義を補完することを目的にしています。