みなさん、どんなものが出題されると思いますか?最新の理論でしょうか?それとも古典的な理論でしょうか?
正解は、、、わかりません(笑)ただ、出題者が「出題するにふさわしい」と思った理論であるのは間違いないでしょう。では、どんなのが相応しいんでしょうか?
1.経営に携わる者として最低限知っていないといけない理論
中小企業診断士は、経営者の支援に従事する者なので、ある意味、経営のプロですよね。ならば経営学の教科書に出てくる基礎的な理論は最低限知っていないといけないはずです。もちろん経営学の教科書と言っても様々ありますが、全てに共通して取り上げられる、その効果が疑いようのない理論がそれです。例えばアンゾフやポーターなどです。逆に言えば、その執筆者だけが主張している理論や、有名だけど議論の余地が残っている理論は出題の可能性が低いと考えられます。
2.こんな理論は出題されない?
・日本で有名でない理論は出題されない?
どんなに有名な理論でも、日本で有名でない理論は出題されにくいようです。というのも前例がありまして、例えばRBVは1990年代に学術界や海外の実務界で有名になった理論なのですが、診断士試験にはまったく出てきませんでしたし、診断士業界はもちろん日本の実務界では、まったく知られていませんでした。それが2005年頃でしょうか、いわゆるコンサルブームが日本で巻き起こり戦略論が脚光をあびたのをきっかけに日本でRVBが広まり(同様にミンツバーグ理論や、ポジショニングアプローチとRBVという分類(それまでの戦略論は、いわゆるプランニング学派の戦略論+ポーターの競争戦略といった具合に分類され紹介されていました)などもこのころ広がりました)、その後数年を経てやっと診断士試験でも取り上げられるようになりました。2010年頃以前の各社のテキストを古本屋で探して確認してみてください。ポジショニングアプローチやRBVといった単語自体がありませんから。そして2010年を過ぎて、やっとRVBやポジショニングアプローチといった問題が本試験で出題されるようになりました。
・最新理論は出題されない?
では次に、あまり有名ではないけれども最新である理論は出題されるのでしょうか?例えば、ストラテジックマネジメントジャーナルや一ツ橋ビジネスレビューに掲載される論文で、発表後、すぐに本試験に出題されたものがあったでしょうか?ありませんよね。なので、この手の出題はないと考えらえます。
3.こんな理論は出題される!?
・5~10年程前に発表され後に有名になった理論は出題される!?
最近の例だと、ブルーオーシャン戦略です。初めてその論文が発表されたのが2005年ごろだったと思いますが、昨年度の問題にレッド・オーシャンという単語がでました。なぜブルーオーシャンが出題されなかったんでしょうね(笑)。その理由として、ブルーオーシャンの定義がまだしっかりと浸透していないからだと思います。ブルーオーシャンは「競争者のいない新しい価値の市場を創造し、ユーザーに高付加価値を低コストで提供することで、利潤の最大化を実現する戦略」なんですが、「差別化戦略の一種」「競合のいないセグメントに進出する」と思っている方が意外と多いのにびっくりします。逆にレッドオーシャンはきちんと理解されている方が多いです。そのため提唱者のチャン・キム教授は各国でセミナーを開催しています。日本にも今年の9月か10月に来日予定だったと思います。このように定義がしっかりと浸透していない理論や、定義が固まっていない理論、学会で疑義が挟まれている理論は出題されないと思います。ただ、ブルーオーシャン戦略については、かなり世に浸透してきているので、そろそろ事例形式で「どれがブルーオーシャン戦略として正しいか?」という問題が出題されてもおかしくないですね。
・最近注目されている理論の古典理論は出題されやすい!?
例えば、RVBやミンツバーグ理論が診断士試験に初めて出題された後に、その古典であるペンロース理論の出題がありました(正確にはペンロースはRBVやミンツバーグと関係ないのですが、内部資源に着目した戦略論という点で同種の理論に分類できます。)。この出題は恐らく「基礎的な理論もきちんと知っていないとダメだ」という意図があったんだと思います。
・専門書の独特の言い回しは出題される!?
さーっと過去問を見てみると「多数乱戦業界」という単語が良く出題されているように思います。これはポーターの競争の戦略のなかにある「多数乱戦市場での競争戦略」という章で出てくる単語なのですが、こういったテクニカルタームでない単語が急に文中に出てくると、その専門書を読んでない人は一瞬「?」と戸惑うかもしれませんね。なので、専門書はきちんと読んだほうが良いと思います。まあ、知らなくても意味を考えればわかると思いますが。。。もしかしたら、それが出題の意図なのかもしれませんね。。。
以上をまとめると下記になります。
・発表から数年を経て有名になっている理論は出題されやすい。
・最新であったり有名だけど学界等で疑義のある理論は出題されにくい(もしくは注釈つきで出題されるかも)。
・最近注目されている理論の古典理論は出題されやすい。
・ひっかけや読解力、思考力をためすために専門書にある独特の言い回しが使われるかも。
どうでしょう?
みなさんも過去問を見返したことあるので「たしかにそうかも」と思ってくれるのではないでしょうか。